最近眠れていますか?
日本人の平均睡眠時間は、戦後の高度経済成長の間にだいぶ短くなりました。
この50年の間になんと約1時間も短くなっており、日本人の平均睡眠時間はおよそ7時間15分になっています。
海外と比べてもかなり短い睡眠時間で、最短眠国と言われているようです。
床に就く時間も遅くなってきており、午後10時に眠っている割合は2015年時点で27%の少なさでした。
現在は更に遅くなっていることも考えられ、かなりの夜型社会になっています。
ちなみに、中国の方たちの話ですが、以前は平均睡眠時間が9時間程度で非常に良く寝ていたそうです。
ですが、目覚ましい経済成長とともに睡眠時間が激減し、ここ10年間で約1時間半短くなっているとのこと。
日本人が50年かけて短くしてしまった睡眠時間を10年でそれ以上に短くしてしまったようです。
日本と比ではない睡眠環境の変化と言え、経済成長と引き換えに睡眠時間を削っている現代中国の方々の姿が浮かび上がってくるかのようです。
さて、現在では不眠に悩んでいる方々は多く、不眠症状があるのは5人に1人、睡眠薬使用は20人に1人と言われるまでになってきています。
睡眠時間が少なければ色々な体調不良が起こってきます。
とはいえ長ければ長いほど良いかというとそうでもなく、1人ひとり最適な睡眠時間は違います。
それぞれ必要な睡眠時間が違うとなると、果たして自分の必要睡眠時間はどのくらいなのか分からないかもしれません。
日本人の調査で、睡眠時間が充足していると答えた方では6~7時間が40%で7~8時間が31.6%。
6~8時間寝ている人の7割が睡眠時間に問題ないと考えているようです。
それより少なかったり多かったりした場合はライフスタイルの見直しを考えても良いようです。
また、年齢とともに必要な睡眠時間は減少します。
必要な睡眠時間は10歳までは8~9時間ですが、65歳では約6時間~6時間半程度と言われています。
年齢を重ねてくると、若い頃の様に長く眠る事は出来なくなってきている、…というか長く眠る必要が無い、ある意味効率的な身体になってきていると言えるかもしれません。
例えば65才の方が夜10時に寝床に入った場合、しっかり寝たとしても朝4時には目が覚めるという事になります。
その場合、目が覚めても周りはまだ暗く、「こんなに早く起きてしまうなんてぐっすり眠れていないのでは」とストレスを抱えてしまったりします。
実際には眠れているのですが、店頭で不眠を訴える方の中にはそういった方も少なくありません。
また、夜間にトイレで目が覚めてしまう方も多いと思います。
眠りが中断されるため不眠になってしまうのではと不安になるかもしれませんが、トイレの後に布団に戻ってからまたすぐ眠れた場合は問題なしと考えるそうです。
ぐっすり眠れている場合、抗利尿ホルモンが分泌されておしっこに行きたくなる回数自体も減少します。
さらに言えば、睡眠には量も大切ですが質も大切です。
時間的にはしっかりと眠っていても「朝の目覚めが悪い、ぐっすり寝た感じがしない」と言う方が非常に多いです。
「眠れていても脳がしっかりと休息できていない」という状態になっている可能性があります。
眠りにはレム睡眠とノンレム睡眠という2種類があります。
物凄く簡単に言うと、レム睡眠は浅い眠り、ノンレム睡眠は深い眠りです。人間は眠り始めてから80~90分でノンレム睡眠の中でも最も深い睡眠段階のN3(エヌスリー)に到達します。
その眠り始めの深い眠り、「ノンレム睡眠N3」に至る事によって初めて脳が休息する事が出来て、様々な身体を回復させるホルモンの分泌が行われるのです。
しかし、寝始めの深いはずの眠りが深くならずに浅い眠りにまでしか到達しないと、脳がしっかりと休まりません。
その結果、7~8時間眠っていても睡眠の質が悪い眠りになってしまいます。
すると目覚めが悪く、ぐっすり寝た感じのしない、疲れの取れていない朝を迎える事になるのです。
眠りを導く要因は主に2つあります。
1つは身体的な疲れ。
もう1つは1日のリズムです。
上質なノンレム睡眠のN3に至るため、より必要なのは1日のリズムを整える事。
朝スッキリ起き、昼しっかりと活動し、夕方になるにつれて徐々にリラックス、そして夜はぐっすり眠る・・・。
こういったリズムが必要なのです。
特に朝の覚醒を促すコルチゾール、夜に睡眠を促すメラトニンというホルモンがしっかり分泌されることが大切です。この2つのホルモンが出る事で、良いリズムを生み出し、元気な毎日を送れるようになります。
朝日の入る部屋で朝食をとると体内時計がリセットされるといいます。
その体内時計のリセットから14~16時間後にメラトニンが分泌されます。
朝7時に朝食をとると21時~23時に眠くなってくるという計算です。
仮に明日用事があって早く起きなきゃという場合、夜早く寝ようとしてもなかなかうまくいきません。
なぜなら通常眠くなる時間の1~2時間前は、逆に1日の中で最も眠くならない時間でもあるからです。
つまり明日早く起きなきゃ、という場合はその前日に早く起きる必要があるのです。
例えば10日朝に2時間ほど早く起きなければならない場合は、前日の9日夜に2時間早く寝ようとするのではありません。9日の夜2時間早く寝ようとしても最も寝づらい時間帯に当たるからです。
正解は9日の朝に早く起きることです。
9日の朝に頑張って早く起きると、その14~16時間後に眠気を催すメラトニンが分泌されてきて早く眠れます。
すると10日の朝に早く起きれる、という計算になります。
「早寝早起き」とはよく言いますが、「早起き早寝」の順番が大切です。
一日の生活リズムが上手く行っていない時など、いつでもご相談下さい。